琵琶湖のブラックバスは、スジエビが大好物(な時もある)
こんにちは。
スマートルアー代表のbozeです。
トラウト釣りをするときはシングルのマイクロバーブのフックを使っています(バーブレスだと、バラシが多いへたくそですw)。
ほとんどはキャッチ&リリースですが、エラとかアタマの辺りにフックが深く入ってしまって「これは生き延びられないな」と判断した場合には、やむなく〆て(苦しまないように、神経締めです)食べることがあります。
そういうとき、一生懸命観察するのが、胃の内容物。
いただいてしまう命なので、できるだけ、後につながる形にしたい気持ちもあります。
・定山渓ダム(さっぽろ湖)で釣った15センチくらいのヤマメから、5センチくらいの小さな細身のサカナが5匹くらい(こんな小さいうちから魚食してる!)
・小さな渓流で釣った18センチのヤマメからはダンゴムシと砂礫がたくさん(ダンゴムシって、そんなにおいしいのか?)
・豊平川の25センチくらいのニジマスからは、藻がたくさんとタバコのフィルター(…ご飯食べてないのか?)
と、いつも、驚きます。
今回紹介するのは、ブラックバス(オオクチバス、Micropterus salmoides)が何を食べているのか、の実証研究です。
「琵琶湖野田沼周辺におけるオオクチバスとブルーギルの胃内容物と糞中DNAによる採餌生態の推定」。日本語で、無料で読めますので、詳細に関心ある方は、ぜひ、リンクからPDFを見てみてください。
実験は、6月~9月に琵琶湖近くの野田沼(行ったことがありませんが、グーグルマップで見ると、琵琶湖と用水路で接続している野池みたいなところです)で、ヨツデ網や投網でブラックバス152匹(おおよそ10~20センチ程度、最小は9・2センチ、最大は41・9センチ)を捕まえて、胃の内容物を見たり、腸の中のフンに含まれるDNAを手がかりにしたりして、エサになった生き物を調べる、というとても根気の要りそうな研究(いや、どんな研究だって強烈な根気が必要ですね…)です。
・胃の内容物の24%はスジエビだった(ただし、採取時期によって5~38%とブレが大きかった)
・37%はサカナ。ヨシノボリが10%、フナ類が6%、アユが5%を占めた。14%はどの種類かわからなかった。
・フンのDNAを見ると、6月に節足動物(昆虫や甲殻類など)が多い傾向があった。
・この水域に住んでいる生物と、ブラックバスがエサにしている生物の割合を比較すると、アユやワカサギを好んで食べているようだった。逆に、ブラックバスや、ブルーギルの稚魚はあまり食べていないようだった。
・ブラックバスの身体の大きさと、エサのサイズは、かなり強い関係があった(R2=0.447)。たとえば、25センチ以上のバスは5センチ以上のサカナしか食べていなかった。
著者は、薄暗い中でもバスの視力が比較的良いこと、スジエビが夜行性なこと、沼の濁りが強くアユの視力がふさがれていた可能性があること、なども解説しています。
バスアングラーから見ると、ほとんどが子バス、また、限定的な時期、エリアでの研究なので、これがいつでも使える知識だとはいえないでしょう。
それでも、エサの偏食傾向とかバスのカラダとエサのサイズの関係とかは、かなり応用が利くと思います。
この論文、引用している文献に面白そうなものが多いので、こんどはそちらも見てみようと思います。
琵琶湖野田沼周辺におけるオオクチバスとブルーギルの胃内容物と糞中 DNA による摂餌生態の推定
- 杉浦 省三, 田口 貴史
- 日本水産学会誌
- Vol. 78 (2012) No. 1
- 公開日: 2012年03月14日
https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan/78/1/78_1_43/_article/-char/ja/
■エビデンス(再現可能な、客観的な情報)に基づいたサカナの面白い話を紹介してくれる方、歓迎します。論文、すごいブログ、人など、幅広く教えてください。
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ブラックバスの目は、赤に反応しやすい
こんにちは。
スマートルアー代表のbozeです。
先日、支笏湖でカヤック・フィッシングをしたのですが、朝マズメ&夕マズメのベスト(と思われる)時間帯にも関わらず、あたりすらなしのボウズ。表面水温が20℃と高すぎることとも関係しているかもしれません。美笛川は水温11℃、トラウトには悪くない水温だったのですが、こちらも反応なしでした。8~9月の支笏湖は渋いので有名らしく、釣り人もかなり少ない感じでした。
なんで釣れないのかよくわからないというのは、なかなか悩ましいです。対策が立てられないので…
さて、今回は紹介するのは、サカナの視力に関する論文です。
著者は、弊社アドバイザリーの川村軍蔵・鹿児島大学名誉教授。
直訳するとズバリ「ブラックバス(オオクチバス、Micropterus salmoides)の色覚、視力調節、視力」(です)。
実験は、体長38~43センチ、薩摩湖で捕まえたブラックバスから取り出した眼球の構造を調べたり、目の細胞(網膜)に様々な色(波長)の光をあてて、反応を調べたりするというもの。
・鮮やかな赤から濃い赤(波長640~701nm)への反応が強かった。
*光の波長については、ウィキペディアのこちらの解説が参考になります(可視光線 - Wikipedia)・目の構造などから、体長43センチのバスでは、見えている最も近い場所は13.5センチ(それより近いとよく見えない)
・細胞の密度から見て、鼻~側頭部方向の動きを感知しやすいらしい。最も細胞密度が高かったのは側頭部側だった
それでは、赤いルアーを巻き系アクションでやっていればいいのか、というと…
著者は、「実験結果は、赤いルアーがバスにとって最も魅力的であることを、必ずしも示唆しない。魅力的かどうかは、バスの行動から結論する必要がある」とわざわざ触れています。
確かに目の構造が赤に反応するようになっていても。
実際に行動するかどうかは、その信号が脳に送られて、サカナなりに判断した結果なわけで。
それに、行動だって、いきなり全力で噛み付くのか、ちょっと鼻先でつつくのか、追いかけるだけなのか、何もしないのか、逃げるのか、って分かれますよね。
あぁ、サカナの気持ち、知りたいです…
原文は無料で、以下のリンクから入手できます。
Color vision, accommodation and visual acuity in the largemouth bass
GUNZO KAWAMURA1), TOSHIHISA KISHIMOTO1) 2)
1) Faculty of Fisheries, Kagoshima University 2) Shimano Inc., Fishing Gear Planning Department
Released 2009/03/31
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fishsci1994/68/5/68_5_1041/_pdf
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ブラックバスは28℃が好き
スマートルアーの代表、bozeです。
サカナは水温にものすごく敏感な気がします。よくニジマスを釣りに行く川では、日によってぜんぜん、活性が違います。
水温が、1週間のうちに5℃くらい、変化していることが原因なんじゃないかと思っています(最近、激しい水温変化のワケがわかりました。その話は、また今度…)。
今回紹介するのは、水温とサカナの体調(活性、といってもいいかも)の関係。
直訳すると、「異なる水温に順応したブラックバス(オオクチバス、Micropterus salmoides)の水温選好と酸素消費量」。
ブラックバスにとって最適な水温を調べるために、行動や代謝を調べた研究です。2007年だから、割と新しいですね。
前文だけでは、よくわかんなかったので、ラーメン1杯分投資して全文をざっと読みました(でも、48時間しか読めないので、急いでチェックです。ラーメン5杯分くらいかけると、PDFがダウンロードできます)。
実験方法は4メートルの温度勾配作った水槽の中にブラックバス(オオクチバス)の稚魚を放して、どこに行くかを観察するというもの。
・ブラックバスが好む水温は27.1~ 29.2℃
・水温が20℃から33℃に上がると、体重あたりの酸素消費量は1.4倍増えた(*boze注:酸素消費量が増えすぎると”生きてるだけで精一杯”で成長にまわる栄養が減ります)
・水温と酸素消費量の関係からは26~29℃の間に適応していることがわかる
同様の「快適な水温」は、ほかの種類のサカナでも絶対あると思います。
動物では、筋肉を動かしたりエサを消化したりするのに、必ず酵素が働きます。
酵素は、ちゃんと仕事ができる温度がかなり厳密に決まっていることが多いので(このへんは、大学で勉強しましたですよ、計算が大変だったですよ、やり方もう覚えてないけど)、この温度を外れると、カラダは動かなくなるわ、おなかの具合は悪くなるわ…で、かなり大変なんだろうと想像してます。
人間も暑かったり、寒かったりすると、体調狂いますよね。人間は体温を保つ仕組みがあるけれど、サカナはない。だから、人間より、ずっと大変なはずです。
■原文、原題などはこちらです。
Temperature preference and oxygen consumption of the largemouth bass Micropterus salmoides (Lacepede) acclimated to different temperatures
Fernando Diaz,
Ana Denisse Re,
Ricardo A Gonzalez,
L Noemi Sanchez,
Gustavo Leyva,
Francisco Valenzuela
Aquaculture Research
Volume 38, Issue 13
September 2007
DOI: 10.1111/j.1365-2109.2007.01817.x
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1365-2109.2007.01817.x/full
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夏、ブラックバスは夜更かしする…
スマートルアーの代表、bozeです。
ルアー釣りに役立ちそうな科学論文を探している中で、ちょっとおもしろい論文見つけました。
原題を直訳すると、「止水域での水面下テレメトリー(遠隔測定)で測定されたブラックバスの移動」。超音波発信機をブラックバス(オオクチバス)につけて、1年間、測定したのだそうです。
前文には、こんなことが(原文をフルで読むのにはラーメン5杯分くらいのお金がかかるので我慢。でも読みたいw)。
・水温が移動範囲を決める唯一の要因のようだった
・春と秋には、日中の移動が多かった
・夏の水温が高い時期に近づくにつれて、夜の移動が増えた
・最も活動的だったのは3月と9月。逆に、最も動かないのは12月と1月だった
ブラックバス、夜も動くんですね。知りませんでした。
bozeは札幌在住なので、ブラックバス釣りはできないんですが、
トラウトは実は夜も釣れます。というか、夜になるのを待って、一気にライズしてくることがあります。
暗闇の中、ヒグマのいる森を流れる川で、ブユやヤブカにたかられながらルアー投げてるのは、いろいろな意味でタフです。
■原文、原題などはこちらです。
Transactions of the American Fisheries Society
Volume 104, 1975 - Issue 4
Movements of Largemouth Bass (Micropterus salmoides) in Impounded Waters as Determined by Underwater Telemetry
Robert L. Warden JR & Wendell J. Lorio
http://dx.doi.org/10.1577/1548-8659(1975)104<696:MOLBMS>2.0.CO;2
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